昨日は一日中泣き腫らしていた。
朝、いつもの習慣で早くに目が覚めた。いつものごとくコーヒーを飲んで目を覚ました。滑皮さんは寝惚けながら投薬をすると嫌がる。だから苦痛を少なくするためにも、コーヒーを飲んで目を覚ますのが日課だった。
もう滑皮さんはいない。あれだけヘトヘトになりながらも行っていた介護が無くなり、心にぽっかりと穴が空いてしまった。
ふと足元を見ると、姫が絡み付いていた。「ねぇ、姫におやつ無いの?ご飯は?」と無邪気に絡んできた。その姿を見て「ごめんね、姫。もうおやつはあげられないんだよ。お兄ちゃんが居ないからね。」と伝えると、姫は悲しそうな顔をしていた。
時間になってから姫に餌をあげて水を替えておまるを替えた。水の減りが遅い。滑皮さんは病気を発症してから、やたらと水を飲んでいた。また、おしっこの付いた猫砂が物凄く少ない。三つあるおまるも、2つしか使われない。改めて彼が居なくなったことを実感した。
旦那が嫌々ながらも仕事に行くと、何故か涙が溢れてきた。滑皮さんの馬鹿。何故こんなに早く逝った!もっと汚く餌を撒き散らしながら食べて欲しかった。もっと豪快に猫砂を撒き散らして排泄して欲しかった。もっと姫と遊んであげて欲しかった。そして何よりも私達の側に居て欲しかった。その間、姫がやたらと甘えてきた。姫を撫でてキスをしておいた。
姫を落ち着かせた後、滑皮さんと高田の遺骨に向かって話しかけた。お前たちのことを本当に愛してるよ、と。後は姫を見守っててね、と。
姫が寝ている隙を伺って、一人カラオケに出掛けた。
カラオケでは泣きながらエリック・クラプトンの「Tears in heaven 」を歌った。エリック・クラプトン自体もポン助だったが、更にポン助だと思われる息子が亡くなった時に息子を想って作った曲だ。
カラオケを出た後、無印良品で化粧水を買って帰ってきた。
そのまま姫と寝たが、夜になって突然とある感情が噴出した。
何故毒母から滑皮さんを守れなかったのか。
何故介護に疲れて楽になりたいと思ったのか。
物凄く自分を責めてしまった。そして号泣してしまった。ごめんね、滑皮さん。君を毒母から守っていれば、君は長く生きられたのかな。毒母から人間の食べ物を貰った上で暴言を吐くのを止めていれば、君は絶望せずにいられたかもしれないのに。私の勇気が無いばかりに、本当に申し訳ないことをしてしまった。悔やんでも悔やみきれない。
滑皮さんが居なくて、姫と一人と一匹の夜は辛い。泣いていたら、姫が涙を舐め取ってくれた。この子の為にもしっかりしようと思った。
まだまだペットロスを克服する段階ではないらしい。姫の不安を取りつつ、これからは二人と一匹で頑張っていこう。