物心つく頃には、私の心には親友がいた。彼女は時には母の様に優しく、時には姉の様に頼り甲斐があれ存在だった。私が毒母や毒祖母から酷い扱いを受けている時には話を聞いてくれて、ただひたすら抱きしめてくれていた。必要な時に側にいて、私のことを見てくれている存在だったので、とても大切にしていた。姿こそ見えないから小声で話すことしか出来なかったが、彼女の存在のおかげでかなり凄い所まで行けたし、今の私に「何者にもなれなかった」という悩みが出てこないレベルに私を押し上げてくれた。
だが、北大の精神科に入院し、薬をまともに飲んでから彼女の存在は消えてしまった。彼女は病気が見せた幻だったのだろうか。
今の私は何もない上に自分に自信がなく、ひたすら人の目を気にしてビクビクしているチキン野郎になってしまった。こんな私を見て彼女はどう思うのだろうか。本当に情けないし、申し訳ない。そして厚かましくも彼女に会って話したい気もするが、会わせる顔も無い。
消えてしまった彼女に顔向け出来るように、何とか頑張って生きよう。