寝不足の中、何とか頑張って子育てをしているが、私たち夫婦よりもよっぽど母性本能が強くて面倒見の良い子がいた。それは、猫さんの姫。姫が娘の面倒を見ていたら、猫さんのカガリがつられて面倒を見る。彼女たちの方が余程母親らしい。
姫は一昨年亡くなった猫さんの滑皮さんの介護を必死でしていた。私よりも余程介護をしていて、彼女の優しさが一々身に染みた。滑皮さんも始めは「俺に構うな！」と怒っていたが、彼女の懸命な介護により心を開き、最期は姫に何かを託して亡くなった。滑皮さんの介護においての一番の功労者は姫だった。
また、私の友人の娘さんが遊びに来た際に、娘さんの相手を進んでしていた。娘さんがメロメロになってしまい、友人に娘さんから「お母さん、ノルウェージャン飼いたい！」と言わせてしまった。その友人も猫さんを飼っているが、自ら体を擦り寄せて行く猫さんは初めてだったみたいだ。
その姫は、今は娘の面倒を見ている。私以上に注意深く娘を見ていて、異変を知らせてくれる。私は物心がつく前から、庭によく来る野良猫さんや祖父の開業する動物病院でたくさんの猫さんを見てきたが、こんなに優しくて面倒見の良い子は初めてだ。カガリにも優しいので、この子は元々母性が強い子なのだろう。
猫さんを飼い始めてから、不思議な現象が起きている。正に生命の神秘というのに相応しい出来事が続けざまにある。毒親の元で育ったが為に、正常な愛情が分からなかった私に無償の愛を教えてくれたのは猫さんたちだった。猫さんたちが家に来てくれてありがたい。また、猫さんを飼うことを許可してくれた旦那にも感謝している。
これからは家族や私に対して良くしてくれる人を大切にしようと思った。今まではかなり自分をないがしろにしていたが、これからは他人を思いやる気持ちを多少は自分に向けようと思った。そして自分を好いてくれる人を大切にしよう。
